2011年10月5日水曜日

日本とヨーロッパのITサービスの可能性

これは、昔なんかの応募書類で書いた小論文をベースに
ちょいちょいとブログ用に書き換えたものですw

日本とヨーロッパのITサービスの可能性


 近年、日本のIT産業は大きく発展し、家にあるコンピュータを始め、携帯電話、駅でのICカード、車のブレーキなど日常生活の様々な場面で情報技術(IT)が利用されている。日常生活の中にITが飽和しているように感じる一方で、我々が想像している以上に、目の見えないところで、ITを活用している機器や場面というのはたくさんある。

生活の中という視点だけでなく、日本と海外という視点でも同様のことが言える。日本の中でITが飽和しているように感じていても、外国と照らし合わせると、まだ飽和してないことに気付かされる。一方で、IT技術が成熟した海外でも、日本と比べることで、まだIT技術を導入する余地があることもある。

日本がこれからITのマーケットをさらに拡げるためには、ヨーロッパに目を向け、ITを輸出入することが一つの有効な手段として考えられる。なぜなら、ヨーロッパ社会はある程度成熟していること、日本とは大きく異なる文化を持っていることである。日本もヨーロッパも同様にある程度成熟したITを持つが、文化的な違いにより、同じような問題に対しても生まれるニーズが異なってくる。日本出生まれてヨーロッパでは生まれなかった、ヨーロッパで生まれて日本では生まれなかったニーズとソリューションを拾い上げ、分析し、それを交流させることで新たなITのマーケットの拡大に繋がる。

例えば、路上の駐車スペースの支払いについて考えてみる。日本では、通常、指定された駐車場所に車を駐車し、パーキングメータで利用予定時間分を支払う。利用時間が延びそうな場合は、パーキングメータまでわざわざ戻って料金を再び払う必要がある。
しかし、ドイツであれば携帯電話で料金を支払うシステム「ハンディ・パルケン」がある。料金を支払う時には、駐車したところに書かれてある番号へ電話するか、ショート・メッセージ・サービス(SMS)で駐車した場所の番号を送り、駐車が終われば同じように連絡する。加えて、駐車終了予定時間の10分前にはSMSで連絡が来るので、延長する場合でも再び電話をかければよく、わざわざ駐車場所に戻る必要がないのである。
 同様の駐車サービスに対してもITが使われている/使われていないの違いは、文化的な背景の違いである。ドイツでは、駐車場の設備がそれほど整っておらず、路上に駐車をすることが多い。加えて、紙幣に対応していないことが多いが、両替機はほぼない。日本では、両替機の代わりとして自動販売機が置かれているが、海外では自動販売機などお金が入った機械が無人になるところに置かれている事はほぼない。なぜならば、お金の入った機械が外にあるというのは「取ってください」と言っているようなものだからだ。こういった背景から、路上駐車をするときにコインがないといった理由で違法駐車をしたりするようになる。しかし、日本では、駐車設備と両替機の役割を果たす自動販売機が多く、その気になれば小銭に困ることがないと言っても過言ではない。
このようなモバイル端末を用いた便利なサービスが日本で生まれなかった理由は、シーズではあるが、ニーズではなかったのである。逆にドイツでは、環境的要因からニーズとして顕在化していたために、このようなサービスが発生したのだろう。

 しかしながら、このような良いサービスを見つけても、ドイツから日本にそのまま持ってきて通用するかどうかは難しいところである。そもそも、日本ではコインパーキングなどの駐車場が多く、路上での駐車場所が少ないことより、このシステムをそのまま導入しても上手くいく可能性は少なく見える。これは、文化的背景の違いによるニーズの違いに起因する。このとき、サービスの表面的な部分だけでなく、どのような背景とニーズから成熟したのかを正しく理解し、日本の文化的背景なども正しく理解し、ローカライズすることが重要である。

成熟したマーケットでのニーズを拾い上げ、違うマーケットでシーズになりうるかを見極め、ローカライズすることが、日本とヨーロッパのITサービス拡充の可能性になりうるのではないだろうか。




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